犬の僧帽弁閉鎖不全症と歯周病|定期的な歯石除去の推奨

今回は 7/16〜 実施中のデンタルキャンペーンに合わせて、私(院長)の専門分野の心臓病との関連、そして全身の健康管理としての歯周病治療の重要性をお話しします。
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ヒトでは口腔内の衛生状態が悪いことは、心臓病、腫瘍、呼吸器感染症、糖尿病などの全身疾患と関連があるとされています。

 

以前の記事でも紹介しましたとおり、歯の健康を維持することで寿命が15%(平均寿命を約15才とすると2年以上)も延びると言われています。さらに、2019年にも年に1回のスケーリング(歯石除去)が死亡リスクを18.3%減少させると報告されました。

歯周病と心臓病の関係としては、歯周病がある人とない人では心臓病発症のリスクが2倍高いとされています。犬では歯周病が重症であるほど、心内膜炎(血液中に細菌が入ってしまい、心臓や全身に炎症を起こす致死率の高い病気)のリスクが顕著であったという報告があります。

それでは犬で最も多い心臓病である、僧帽弁閉鎖不全症との関連はどうでしょうか。

 

犬の僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁の粘液腫様変性(分厚く変形していく)が起きます。

この僧帽弁と歯周ポケットの菌の検出率を調べてみると、歯周病ステージが高くなるほど細菌の検出率が上がったそうです。しかも、犬の主要な歯周病原性細菌の1つとされている Porphyromonas gulae と言う菌の検出率が最も高く、なんらかの形で口腔内の細菌が他の臓器に移動し、心臓の弁にも定着するということがわかりました。

ちなみになんとこの菌、人の口腔内細菌としては一般的ではないにも関わらず、飼い主の口腔内からも検出されたと言われています。そしてそれは犬とご家族との密着度が関連しているとされています。

 

動物と人の間にある双方の愛情表現としての密着は微笑ましいですが、できるかぎり安全に行っていただくために、また、大切な愛犬や愛猫の重要な健康管理の一つとして、定期的な歯石除去を行ってあげることをお勧めいたします。

木﨑