今回は犬と猫の口腔内のケアの記事を再度投稿いたします。
読んでいただき、日常の口腔内ケアに興味を持った方、口腔内の異常に心当たりのある方は是非当院スタッフにお気軽にご相談ください。
まとめの動画もぜひご覧ください。
↓ 詳しい説明を読む ↓
<犬と猫の歯周病のおはなし>
犬と猫に虫歯はあまり多くありません。ほとんどの子が歯石沈着と歯周病です。
歯周病を放っておくとさまざまなトラブルになります。
歯周病が原因で歯が抜けてしまったり、全身の内臓に悪影響を及ぼしたりすることもあります。
口の中の健診を怠ると実は口の中に ’できもの’ ができていたいう例も多くあります。
口腔内トラブルの早期発見のためにも定期的に健診をお勧めします。
以下の症状はありませんか?このような症状が認められる場合には早めの受診をお勧めします。
犬において歯の健康を維持することで寿命が15%も延びると言われています。
平均寿命が約15才ですから2年以上ということになります。
2019年にも年に1回のスケーリング(歯石除去)が死亡リスクを18.3%減少させると報告されました。
現段階では歯科診療のために来院される患者さんの多くはすでに進行した状態で、
「予防」ではなく「治療」が必要な状態です。
しかもその治療すら本来はもっと前に始めていなくてはならない状態が多いのです。
放置しすぎて、歯の根っこが歯槽骨を溶かし、鼻や目の下あたりの頬から血膿を流してくる子もいます。(根尖部膿瘍)
歯科処置までの流れ
歯科処置の流れ
歯科処置後のケア
・歯科処置後、1週間くらいで再診にいらしてください。
・術後3日程度は痛み止め、約1~2週間の抗生物質の内服をお願いすることがあります。
・歯石は3~5日でつくので、おうちでのケアが必要です。
・多くのデンタル製品がありますので、よく相談をして合っているものを選択しましょう
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<無麻酔スケーリングの弊害>
最近では無麻酔での歯科処置をするという獣医師ではない方の施術が目につきます。
歯は表面上きれいに見えても、きれいにしたような感じがするだけです。
単に見た目だけの効果しかありません。歯周病の治療をしないと意味がないのです・・・。
なぜ予防歯科処置が全身麻酔下で、トレーニングを受けた獣医師がすべき処置であるのかその主な理由がこちらです。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
歯石そのものが歯周病の直接的な原因ではないので、表面の歯石だけをとっても予防にも治療にもならない。
無麻酔なので犬や猫は動く、スケーラーは滑るので、歯肉や舌、口腔粘膜を容易に傷つけてしまう。
このような危険な行為は動物に痛み ばかりでなく恐怖感を与えることになります。
口も触らせてくれなくなり、家でのケアをしにくくなることが多くなります。
これらはほんの一部なので、日本小動物歯科研究会の無麻酔下歯石除去についてのコメントを是非ごらんください。「無麻酔で歯石をとる?!」
<参考文献>
S.R. Urfer et al. Risk Factors Associated with Lifespan in Pet Dogs Evaluated in Primary Care Veterinary Hospitals. 2019 J Am Anim Hosp Assoc. 55. 130-137
B.A. Niemiec et al. World Small Animal Veterinary Association Global Dental Guidelines