当院では、猫の変形性関節症に伴う疼痛を緩和する治療薬「ソレンシア」を導入いたしました。
愛猫の動きに関してこんなお悩みはありませんか?
・高いところにジャンプしない様になった。
・昔に比べて動きがぎこちない
・階段の登り降りをしたがらなくなった。
それは「変形性関節症」による痛みが原因かもしれません。
変形性関節症とは
変形性関節症とは、軟骨に負担がかかることで関節が変形し、慢性的な痛みや動きに困難が生じる関節疾患の一つで、猫での有病率は74%以上であるとの報告があります。[1]
不可逆的な症状であるため早期発見をし、いかに進行を遅らせてQOLを改善するかが大切になってきます。
変形性関節症の原因は、加齢、肥満、外傷、遺伝、過度の運動、関節不安定症、繰り返しの亜脱臼や脱臼など多くあります。
猫では手根関節、肘関節、膝関節が好発部位で、症状としてジャンプができなくなったり動きや活動量の低下、段差の上り下りをためらうようになるなどの行動の変化が見られます。
治療法
猫の変形性関節症の進行は不可逆的であるために、根治はできません。しかし、治療によりQOLを上げることは可能です。方法としては
・体重管理
・生活環境の改善(ジャンプなどの衝撃性の高い動作を控える)
・疼痛管理
・リハビリテーション
などが挙げられます。
2023年3月から変形性関節症の痛みを緩和する治療薬「ソレンシア」が発売されました。
ソレンシアは猫の変形性関節症の痛みを緩和する治療薬で、
・初回投与後に約7割の猫で痛みを緩和
・他の痛み止めの薬と比べて、肝臓・腎臓・胃腸への影響が最小限
・1回の注射で1ヶ月間効果が持続
ソレンシアの成分であるフルネベトマブ群を投与した猫は投与していない猫と比較して投与後3週間において活動量が12.9%上昇したという報告があります。[2]
まとめ
ネコちゃんの変形性関節症にお困りの方や、「最近なんかジャンプを嫌がってるような気がする」などの変化にお気づきになりましたら当院にご相談ください。
また、こちらのネコちゃんの変形性関節症の痛みチェックシートもぜひご利用ください。
参考文献
[1]Taro Kimura, et al. Retrospective Radiographic Study of Degenerative Joint Disease in Cats: Prevalence Based on Orthogonal Radiographs. Front Vet Sci. 2020;7:138.
[2]Gruen ME, Thomson AE, Griffith EH, et al. A felme-specific anti-nerve growth factor antibody improves mobility in cats with degenerative joint disease associated pain a pilot proof of concept study. Vet Intern Med 2016:30(4):1138-1148
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