「最近愛犬の歯茎が黄色い気がする・・」
「尿の色が濃くなっている・・・」
それは「黄疸」があり、何か大きな疾患が隠れている可能性があります。
黄疸とは?
黄疸とは、胆汁色素であるビリルビンの過剰産生あるいは排泄低下により、血液中のビリルビンが増加して、皮膚や粘膜、血清などが黄色くなることを黄疸といいます。
ビリルビンの流れ
赤血球が肝臓や脾臓で代謝され血液中に非抱合型ビリルビンが放出
↓
肝臓に運ばれた非抱合型ビリルビンはグルクロン酸抱合を受けて抱合型ビリルビンになる。
↓
抱合型ビリルビンは胆汁中に排泄され、消化管内に入り再び肝臓へ(ビリルビンの腸肝循環)
要はビリルビンは赤血球から作られ、肝臓で処理されて胆汁中に排泄されます。この経路の中でどこかに異常が出ると血中のビリルビンが増えて黄疸の症状が出ます。
症状は?
・皮膚や粘膜、目の白い部分などが黄色くなる
・尿が濃い黄色になる
・元気消失、食欲不振、貧血などがみられる場合もあります。
血液検査でビリルビンの値が2.0mg/dl以上で皮膚が黄色くなると言われています。
原因は?
原因は大きく分けて3つに分類されます。
・肝前性黄疸
肝臓自体には異常はありませんが、溶血性貧血などにより、肝臓の処理能力を上回るほどの大量のビリルビンが供給された時に起こります。
例)免疫介在性溶血性貧血、タマネギ中毒、猫白血病など
・肝性黄疸
肝機能低下により、ビリルビンの取り込み、抱合、輸送などのビリルビン代謝障害によって起こります。
例)肝炎、肝硬変、中毒、腫瘍、肝リピドーシス、FIPなど
・肝後性黄疸
肝臓から排泄された胆汁が、何らかの理由で閉塞することにより、胆汁としてビリルビンを排泄できなくなることで生じます。
例)胆石、炎症(特に膵炎から2次的に)、腫瘍、肝細胞の腫大など
治療法は?
それぞれの原因に対して治療をしていきます。例えば免疫が関与している場合の溶血性貧血に関しては、免疫抑制剤、ステロイドの投与、胆嚢粘液嚢腫では胆嚢の摘出など原因によって治療は様々です。
まとめ
目で見て「黄色くなっている!」とわかるくらいだと、重症化していることがほとんどです。
「元気ないな」「最近、食欲がない」「よく吐いてる」など、異常を感じた時点で動物病院に相談しましょう。
荻窪桃井どうぶつ病院/杉並動物循環器クリニックでは、公式ライン・インスタグラムにて飼い主さん向けの情報を発信しています。