今回はワンちゃん、ネコちゃんが口にすると危険なものについて食べ物についてお話しします。
私たちが普段食べているものでも、ワンちゃん、ネコちゃんが食べてしまうと中毒になってしまう有害なものもあります。
中毒を防ぐには、事前に誤食しないように日々気をつけることが一番大切になってきます。
タマネギ・ネギ類
タマネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物が赤血球を破壊して貧血を起こします。また、タマネギを使った加工食品にも注意が必要です。食べてから半日〜数日して症状が現れることが一般的です。
症状
貧血、元気消失、嘔吐、下痢、ヘモグロビン尿、頻脈、呼吸が速くなる
などが見られます。
中毒量
一般的には体重の0.5%以上の量を食べてしまうと中毒症状が出てくると言われています。
体重1kgあたり犬では15~30g、タマネギに対して感受性の高い猫では5gの量を食べただけでも血液検査上での異常が認められるので、少量でも注意が必要です。[1]
チョコレート
チョコレートに含まれる、テオブロミンやカフェインにより中毒が起こります。食べてから2〜4時間後に症状出ると言われています。[2]
症状
嘔吐、下痢、失禁→興奮→頻脈、不整脈、痙攣(重症の場合)
中毒量
テオブロミンとカフェインを体重1㎏あたり20㎎食べると犬で軽度の中毒症状がみられ、40~50mg食べると症状が重くなり、さらに60mgでけいれんが起こると言われています。[3]
ナッツ(マカダミアナッツ)
ナッツの中でも特に、マカダミアナッツで中毒症状が起こると言われています。食べてから12時間ほどで症状が出ると言われています。
症状
嘔吐、衰弱、ふらつき、発熱、震え
中毒量
正確な量は不明ですが、体重1kgあたり0.7gのマカダミアナッツで中毒症状が現れたという報告があります。[4]
ぶどう・レーズン
ぶどうやレーズンを食べるとワンちゃんのとって有害な食べ物です。未だに原因物質は特定できていません。ぶどうやレーズンを食べると数時間で症状が出ると言われています。
症状
元気消失、嘔吐、急性腎不全などが見られます。
中毒量
原因物質がまだ分かっていないせいか、中毒を引き起こす量は正確には分かっていません。
アボカド
アボカドに含まれる「ペルシン」という成分が危険であり、様々な動物に毒性を持ちます。また、アボカドの種が腸に詰まってしまうこともあるので注意が必要です。
症状
嘔吐、下痢、胃腸炎、呼吸困難、心嚢水などの貯留
中毒量
中毒量ははっきりとはわかっていません。
キシリトール
ガムや歯磨き粉に含まれているキシリトールはワンちゃんが食べるとインスリンを大量に出し、血糖値が急激に低下してしまいます。食べてから早いと30分程度で低血糖になります。
症状
ふらつき、発作、肝機能障害など
中毒量
犬ではキシリトールによる低血糖は体重1kgあたり0.03g[5]から、肝不全は0.5g[6]から認められると言われています。
まとめ
中毒の予防は飼い主様が気をつけることが何より大切です。
中毒物質を知り、ワンちゃん、ネコちゃんが誤って食べてしまわないような環境づくりを心がけましょう。
万が一食べてしまった場合はすぐに動物病院へ受診しましょう。
参考文献
[1]Cope RB, 2005. Vet Med 100: 562–6
[2]Sturgeon K., Sutton NM., 2008. Clinical Toxicology 46(5): 384-3845)
[3]Gwaltney-Brant S., 2001. Vet Med 96(2): 108-11
[4]McKenzie RA et al., 2000. Aust Vet Pract 30(1): 6-10
[5]DuHadway MR et al., 2015. J Vet Emerg Crit Care 25: 646-54
[6]Dunayer EK., 2006. Vet Med 12: 791-7
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