心臓は全身の臓器へと血流を送る重要な臓器であるため、心臓病になると多様な症状が見られます。
今回はそんな中でも主に見られる症状を紹介していきます。
呼吸困難
呼吸数の増加は体内の二酸化炭素濃度の上昇や酸素濃度の低下によって引き起こされます。
正常な動物でも運動や興奮によって呼吸数の上昇は見られますが、心臓病の子は正常な子と比べても顕著で、安静状態でも呼吸数の上昇が見られます。
安静時の呼吸数(睡眠時など)が1分間に40回以上だと肺水腫などのリスクがあるため要注意です。
咳
「カッ」「オエーッ」といった咳をする場合があります。
特に湿った音(ゴボゴボ)などの咳をする場合は肺水腫(肺に水が溜まっている状態)である可能性が高いため注意が必要です。
犬の方が猫よりも心臓病で咳が出やすいと言われています。
運動不耐性、倦怠感(元気消失)
心臓が全身にうまく酸素を供給することができなくなり、運動をするとすぐに疲れてしまうなどの症状が出ます。
高齢の場合やその他の疾患でも同様な症状が出るため本当に心臓病によるものなのかを判断することに注意が必要です。
体重減少
重度の慢性心不全の患者は体重減少が認められる場合があります。必要なエネルギーを摂取できてないことや骨格筋量の減少などにより体重が減少します。
胸水・腹水貯留
胸腔、腹腔に水が溜まります。犬では主に右心不全で溜まることが多いですが、猫では左心不全でも溜まる場合があります。胸水・腹水が多く溜まると、呼吸が苦しくなる場合もあります。
粘膜の色の変化
正常な動物の粘膜の色はピンク色をしていますが、心臓病により血液中の酸素が欠乏するとチアノーゼ(粘膜が紫色になる)を起こします。
失神(虚脱)
心臓から脳へ送り出される血液量が減少し、脳に供給される酸素が不足することが原因で失神します。
右心不全や不整脈によって起こります。
麻痺
心臓から血栓が飛び、血管に詰まることで麻痺が起こることがあります。血栓が詰まるとその血管が支配している領域の末端の体温が低下する場合があります。心筋症の猫に多く認められ、後肢に症状が見られる場合が多いです。
視覚異常や神経症状
心臓病の犬や猫では高血圧の場合があり、血圧が上がることで脳や眼の小血管が破綻することで視覚障害や神経症状を示す場合があります。
また、高血圧は腎臓にも障害を引き起こすことがあるので注意が必要です。
まとめ
心臓病というのは、初期には明らかな症状があらわれにくく、症状が認められる頃には一気に悪化することがあり、すでに手遅れになっていることも多くあります。
定期的に動物病院で心臓のチェックも行うようにしましょう!
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