こんにちは!今回はわんちゃん、ねこちゃんの乳歯についてお話ししていきます。
乳歯のトラブルとして、乳歯遺残が挙げられます。
それについても後半触れていきます。
1.乳歯の基本情報
成長過程において、乳歯(ベイビーティース)は非常に重要な役割を果たします。人間と同様に、わんちゃんや猫ちゃんも乳歯から永久歯へと生え変わります。この過程は通常、生後3〜7ヶ月の間に行われます。
乳歯の特徴:
-数:犬は28本、猫は26本の乳歯を持っています。
-構造:小さく、尖っており、肉や骨を噛むのに適しています。
-生え方:生後2〜4週間で乳歯が生え始め、通常8〜12週間で全ての乳歯が生え揃います。
2.永久歯への生え変わり
乳歯から永久歯への生え変わりは、犬や猫の成長の一部です。以下に、永久歯への生え変わりの一般的なスケジュールを示します。
– 犬:生後3〜4ヶ月頃に前歯が生え始め、5〜6ヶ月頃に犬歯(牙)が生えます。7ヶ月頃には全ての永久歯が揃います。
– 猫:生後3〜4ヶ月頃に前歯が生え始め、5〜6ヶ月頃に犬歯が生えます。6〜7ヶ月頃には全ての永久歯が揃います。
3.乳歯遺残とは?
乳歯遺残とは、永久歯が生えてきたにもかかわらず、乳歯が抜けずに残っている状態を指します。この状態は、特に小型犬種や猫で見られることが多いです。7か月過ぎても乳歯が残っている場合は将来的に抜けない可能性が高く、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
– 歯並びの不整:永久歯が正常に生えないため、歯並びが悪くなり、噛み合わせの問題が発生することがあります。
– 歯周病のリスク増加:乳歯と永久歯が重なっている部分に食べ物が詰まりやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
– 口腔内の不快感:乳歯と永久歯が重なることで、動物が不快感を感じることがあります。
4.乳歯遺残の対処法
乳歯遺残が見られる場合、まずは獣医師に相談することが重要です。一般的な対処法としては、以下の方法があります。
– 観察:永久歯が完全に生え揃うまで様子を見て、自然に乳歯が抜けるかどうかを確認します。
– 抜歯:乳歯が抜けない場合、獣医師が麻酔下で乳歯を抜歯することがあります。この処置は、歯並びや歯周病のリスクを軽減するために行われます。一般的に去勢手術や避妊手術のときに併せて乳歯抜歯することが多いです。
このわんちゃんは歯の生え変わりが全体的に遅く、乳歯がかなり残ってしまっています。歯が二重に重なっています。
5.日常のケアと予防
乳歯遺残を予防し、健康な口腔環境を維持するために、以下のケアが推奨されます。
– 定期的な口腔チェック:子犬や子猫の歯の状態を定期的にチェックし、異常がないか確認します。
– 歯磨き:歯磨きは歯周病の予防に効果的です。子犬や子猫のうちから歯磨きに慣れさせると良いでしょう。
– 適切な食事:硬めのフードやおやつを与えることで、自然に歯が抜けやすくなることがあります。
– 定期的な獣医師の診察:定期的に獣医師の診察を受け、歯の健康状態をチェックしてもらいます。
まとめ
乳歯と乳歯遺残について理解することは、愛犬、愛猫たちの健康を守るために非常に重要です。乳歯から永久歯への生え変わりをしっかりと観察し、異常が見られた場合には迅速に対処することで、健康な歯並びと口腔環境を維持することができます。まずはお気軽にご相談ください。
獣医師 山本倫大