犬の埋伏歯のお話

今回はわんちゃんの埋伏歯についてお話ししていきます。
あまり聞きなれないと思いますが、気づかないと大きい病気につながることがあります。
愛犬の歯の本数がしっかりあるか、確認してみてください。
足りない場合は歯が歯肉の中に埋まっている可能性がありますので、歯科レントゲンの持っている動物病院へご相談ください。

埋伏歯とは?

犬の埋伏歯(まいふくし)とは、通常の位置に生えてこない歯のことを指します。これらの歯は顎の骨の中や歯肉の下に埋まってしまい、見た目には確認できないことが多いです。特に、犬の乳歯が抜けた後に永久歯が正常に生えてこない場合に発生しやすいです。

まだ1歳のパグちゃんですが、左あごしたのオレンジで囲った部分に歯が1本足りません。
ここに埋伏歯の可能性があります。歯科レントゲンを撮ってみると・・・

オレンジの丸で囲われた横たわっている歯が、うまく生えてこなかった永久歯(埋伏歯)です。

原因

埋伏歯の原因は多岐にわたります。代表的な原因としては以下のようなものがあります。
1. 遺伝的要因:
   一部の犬種では、埋伏歯が遺伝的に起こりやすいことが知られています。特に、小型犬種や短頭種では埋伏歯が一般的に見られます。
2. 乳歯の問題:
   乳歯が正常に抜けずに残っていると、永久歯が生えてくるスペースが確保できず、結果的に埋伏歯になることがあります。
3. 顎の形状:
   顎が小さい犬や、顎の形状に異常がある犬では、歯が正常に生えるためのスペースが不足することがあり、埋伏歯になることがあります。
4. 外傷:
   若齢期に顎や歯に強い衝撃を受けると、永久歯が正常に発育しないことがあります。

症状

埋伏歯は見た目ではわかりにくいため、以下のような症状に注意する必要があります。

– 食事の問題: 食欲不振や食べ物を噛むのを嫌がる。
– 口臭: 埋伏歯の周囲で細菌が繁殖し、口臭が発生する。
– 歯肉の腫れ: 埋伏歯の位置に対応する部分が腫れる。
– 歯並びの異常: 他の歯が圧迫され、歯並びに異常が見られる。

診断

埋伏歯の診断には、主に以下の方法が用いられます。
1. 視診と触診:
   獣医師が犬の口腔内を目視で確認し、歯や歯肉の状態を触診します。
2. X線撮影:
   埋伏歯の位置を正確に把握するために、X線撮影が行われます。これにより、埋伏歯がどこにあるか、どのように埋まっているかを確認できます。
3. CTスキャン:
   より詳細な画像が必要な場合には、CTスキャンが用いられることもあります。これにより、三次元的な構造を把握しやすくなります。ただし、動物の場合、全身麻酔が必要です。

治療方法

埋伏歯の治療は、その位置や状態によって異なります。以下に代表的な治療法を紹介します。
1. 自然排出の観察:
   若齢犬の場合、埋伏歯が自然に排出されることもあります。そのため、まずは一定期間観察を行うことがあります。
2. 抜歯:
   痛みや炎症を引き起こしている場合や、他の歯に悪影響を及ぼしている場合には、埋伏歯を外科的に抜歯することが一般的です。
3. 矯正治療:
   埋伏歯が顎の成長に伴い正常な位置に誘導できる場合には、矯正治療が行われることもあります。この場合、専門的な設備と技術が必要です。

予防

埋伏歯の予防には、以下の点に注意することが重要です。
1. 定期的な歯科検診:
   若齢期から定期的に獣医師による歯科検診を受けることで、早期発見と早期対応が可能となります。
2. 適切な口腔ケア:
   日常的に犬の口腔ケアを行うことで、歯や歯肉の健康を保ち、埋伏歯のリスクを減らすことができます。
3. 適切な食事と咀嚼:
   適切な硬さの食事を与えることで、歯の自然な成長を促し、埋伏歯のリスクを軽減できます。

まとめ

埋伏歯は見過ごされがちですが、早期に発見し適切に対処することで、愛犬の健康を守ることができます。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを心がけましょう。もし、愛犬に埋伏歯の疑いがある場合は、早めに動物病院に相談することをお勧めします。