犬や猫の下痢は、いくつかの異なる原因によって引き起こされる可能性があります。当院でも下痢が主訴で来院される方が多いため、今回は考えられる原因や対応方法について詳しく説明します。
1. 下痢の特徴
下痢は主に小腸性下痢と大腸性下痢に分けられます。
便の特徴 | 小腸性下痢 | 大腸性下痢 |
回数 | わずかに増加 | 増加 |
1回量 | 多い | 少ない |
ゼリー状粘液 | まれ | よくある |
血便 | 黒色便(タール便、メレナ) | 赤色便(鮮血便) |
脂肪便 | 吸収不良でみられる | みられない |
しぶり | なし | あり |
体重減少 | 長期化するとある | まれ |
2.原因
〈食事〉
- 食事の変更: 急に食事を変更したり、新しい食べ物を与えたりすると、消化不良や胃腸の不調が起こることがあります。
- 人間の食べ物やおやつ: 犬や猫に人間の食べ物を与えすぎると、消化不良を引き起こすことがあります。
- アレルギー: 特定の食材にアレルギーがある場合、下痢が発生することがあります。例)乳製品、肉類など。
〈感染症〉
- ウイルス性感染: 犬では「犬ジステンパーウイルス」や「パルボウイルス」、猫では「猫コロナウイルス」や「猫汎白血球減少症ウイルス」などが下痢を引き起こすことがあります。
- 細菌感染: サルモネラ菌、カンピロバクターなどの細菌が感染すると、下痢が発生します。
- 寄生虫感染: 特に子犬や子猫に多く見られる寄生虫(ジアルジア、コクシジウムなど)が原因となることがあります。
〈ストレス〉
- 引っ越しや旅行、飼い主の不在、環境の変化などが原因で犬や猫にストレスがかかり、それが下痢を引き起こすことがあります。
病院猫のほうじちゃくんはストレスに弱く、病院に来た他の猫ちゃんを見たりすると、下痢をすることがあります。そのため部屋を移動させたり、休憩時間中には遊んであげたりして気を逸らし、できるだけストレスが溜まらないように気をつけています!
〈中毒〉
- 有毒植物や化学物質の摂取: 犬や猫が有毒な植物(ユリなど)や化学物質(洗剤、農薬など)を摂取した場合、下痢をすることがあります。
- 薬物の副作用: 一部の薬物(抗生物質や抗炎症薬など)が腸内に影響を与え、下痢を引き起こすことがあります。
3. 対策
- 軽度の場合: 下痢が軽度で元気食欲もある場合、少しの間食事を控えたり、普段食べているご飯を消化器系のものに変更することで改善することがあります。
- 水分補給: 下痢によって体から水分が失われるので、十分な水分を与えることが重要です。
- 獣医師への相談: 下痢が長引いたり、血便、嘔吐、元気がない、体重が減少するなどの症状がある場合は、早急に獣医師に相談するべきです。診断を受けることで、原因を特定し、適切な治療を受けることができます。
当院にもロイヤルカナンやヒルズなどの消化器用のサンプルをご用意していますので、気になる方はご相談ください!
出典:ロイヤルカナン
出典:日本ヒルズコルゲート株式会社
まとめ
下痢が続く場合や、以下のような症状が見られる場合は、すぐに動物病院で診てもらうことをお勧めします。
- 血便や黒い便
- 嘔吐もしている
- 食欲不振や元気がない
- 下痢が1日以上続く