今回はワンちゃんの乳に胸についてお話しします。
犬の乳び胸(にゅうびきょう)とは?
乳び胸は、犬の胸の中に「乳び」と呼ばれる白く濁ったリンパ液が溜まってしまう病気です。これは呼吸を妨げるため、放っておくと命に関わることもあります。
乳びとは?
食事で摂った脂肪が小腸で吸収されると、リンパ液に混ざって「乳び」という液体になります。
通常はリンパ管を通って静脈に流れ込み、体内に運ばれます。
乳び胸になる原因は?
胸の中を通るリンパ管(胸管)が破れて、乳びが漏れ出すことで起こります。
外傷や心臓病などの原因がある場合と特発性と呼ばれる原因不明のものがあります。
症状は?
・呼吸が苦しそう(努力性呼吸)
・食欲不振、元気がない
・咳や嘔吐
・動かなくなる、疲れやすくなる
などがあります。
診断方法
・レントゲンやエコーで胸水の有無を確認
・胸水を抜いて検査(白く濁っていれば乳びの可能性が高い)
・血液検査で脂肪成分(トリグリセリドなど)をチェックします。
治療法
・内科的治療
低脂肪食に切り替えたり、ステロイド、サプリメント(ルチンなど)の内服を行います。また、胸水を定期的に抜く(胸腔穿刺)を実施する場合もあります。
・外科的治療
内科的治療で改善が見られない場合に実施します。
CT検査で術前に胸管の走行などを確認し、胸管を縛って乳びの漏れを止める「胸管結紮術」、「心膜切除」、「乳び槽切開」を実施します。
手術後も再発の可能性があるため、経過観察が必要となります。
まとめ
慢性化すると「線維性胸膜炎」になり、肺が硬くなって呼吸困難が悪化します。
外科手術が唯一の根治治療ですが、リスクもあるため慎重な判断が必要です。
もし愛犬が呼吸に苦しそうな様子を見せたら、すぐに動物病院で診てもらうことが大切です。もっと詳しく知りたい部分があれば、遠慮なくお問い合わせください。
荻窪桃井どうぶつ病院/杉並動物循環器クリニックでは、公式ライン・インスタグラムにて飼い主さん向けの情報を発信しています。
