便の調整に役立つ?『サイリウム』についてご紹介

サイリウム(オオバコ種皮)について

サイリウム(Psyllium)は、オオバコ科の植物の種皮由来の天然食物繊維で、水を含むとその10倍もの水分を吸収し、ゼリー状に膨らむ性質があります。
人の健康食品として広く使われていますが、犬や猫の「便の調整」に非常に役立つ安全性の高い素材として、動物医療でもよく利用されます。


サイリウムの特徴

● 水溶性&不溶性食物繊維のバランスが良い

サイリウムは、

  • 水溶性食物繊維(便を柔らかく・滑りをよくする)

  • 不溶性食物繊維(腸の動きを促す)
    の両方の働きを持っており、便秘にも軟便にも効果が期待できます。

● 水を吸収すると大きく膨らむ

水分と混ざるとゼリー状に膨らみ、

  • 便の量を増やす

  • 腸の動きを調整する

ことで排便がスムーズになります。


どんなときに使うの?

サイリウムは以下のような消化器のトラブルに役立ちます。


1. 便秘

サイリウムは水を保持して便を柔らかくし、腸の通過をスムーズにします。
特に猫(高齢猫や慢性腎臓病の猫)でよく利用されます。


2. 軟便・下痢気味のとき

意外ですが、軟便にも効果があります。
ゼリー状の繊維が便の水分を適度に吸収し、便の形を整える働きがあります。


3. 肛門嚢トラブルの予防

便のかさが増えることで肛門嚢(肛門腺)が自然に押し出されやすくなり、
肛門嚢炎や肛門腺の詰まりの予防に使われることもあります。


4. 糖尿病・肥満対策の一助として

食物繊維が糖の吸収速度を緩やかにし、食後血糖の急な上昇を抑える作用があります。
満腹感の持続にもつながります。

※あくまで補助であり、治療そのものではありません。


サイリウムの与え方

● 基本用量(目安)

サイリウムは体重よりも便の状態に合わせて量を微調整します。

ざっくりとした基準では0.6g/kg/日と言われていますがかなりの量になるため、ワンちゃん、ネコちゃんの様子を見ながら適宜調節していくのをおすすめします。


● 与える際のポイント

必ず水分と一緒に与える(非常に重要)

サイリウムは水を吸って膨らむため、
水分が不足すると逆に便秘を悪化させる可能性があります。

  • ウェットフードに混ぜる

  • 水やスープを追加してよくふやかす

  • 粉のまま直接飲ませない

という点が大切です。


少量からスタートする

腸が繊維に慣れるまで数日かかるため、
初日は目安の半量ほどから始め、様子を見ながら増やします。


味やにおいがほとんどないため比較的混ぜやすい

猫でも受け入れやすい食物繊維です。


副作用や注意点

サイリウムは比較的安全ですが、以下の点に注意が必要です。

● 水分不足 → 便秘悪化

● 急に大量に与える → お腹が張る、ガスが増える

● 便が急に軟らかくなる

● 持病(腎臓病・糖尿病)のある場合は量の調整が必要

特に高齢猫では脱水になりやすいので必ず水分を増やすことが重要です。


どのくらい続ければいい?

  • 効果は早ければ1〜3日で現れます

  • 便秘気味の子は長期的に使うこともあります

  • 軟便の調整にも継続使用する場合があります

定期的に便の様子を観察し、必要に応じて量を調整します。


まとめ

サイリウムは、犬猫に安全に使える天然の食物繊維で、
便秘にも軟便にも使える万能な腸内サポート素材です。

  • 便が硬い

  • 便がゆるい

  • 肛門腺がたまりやすい

  • 高齢になって便の調子が安定しない

このような場合に、とても役立つ補助食材です。

ただし、
水分と一緒に与えること
少量から開始すること
は必ず守り、心配な場合は当院へご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 


 


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