
「最近、うちの子の口がなんだか臭う…」
そんな悩みを抱えている飼い主さんもいらっしゃると思います。
口臭は単なるニオイの問題ではなく、お口や全身のトラブルを知らせる大切なサインのひとつ。
特に犬猫は痛みや不調を隠すため、口臭が治療のきっかけになることはとても多いです。
■口臭がひどくなる主な原因

口臭がひどくなる原因は以下のようなものがあります。
① 歯周病
犬猫の口臭の80〜90%は歯周病が原因と言われています。
歯垢・歯石に増えた細菌がニオイの元となり、歯茎の腫れ・出血・歯のぐらつきにつながります。
こんなサインは要注意
- 口が強く臭う
- 歯の根元が黄色や茶色(歯石)
- 歯茎が赤い、腫れている
- よだれが増える
- 片側で噛む
- 顔を触るのを嫌がる
口臭は強くなり、歯石がついている場合は、歯周病の可能性が高いです。
② 歯の破折(歯が割れる)
歯が欠けたところから細菌が入り、歯髄が感染すると強烈な口臭が出ます。
特に裂肉歯(上顎の奥歯)や犬歯で起こりやすいです。
③ 口内炎・口の中の傷
猫に多く、痛みでよだれが増えたり、口を開けたときに強いニオイがあります。
ウイルス性疾患(カリシウイルスなど)や歯周病に関連することも。
④ 食べかすや異物が歯に挟まっている
意外と多い原因です。
硬いガムの欠片・毛玉・植物片などが歯の隙間や奥に挟まると、細菌が繁殖して強いニオイになります。
⑤ 口以外の病気(全身疾患)
腎臓病 、糖尿病 、胃腸トラブル などで口臭の変化がある場合があります。
口腔内はきれいでも口臭がひどいときは、内臓の病気が隠れていることもあります。
■早めに動物病院を受診すべきサイン

以下の症状がある場合は、口臭だけでなく病気が進行している可能性があります。
- 口臭が急に強くなった
- 食べ方がおかしい(硬い物を嫌がる)
- よだれが増えた、血が混じる
- 片側で噛む・食べ物を落とす
- 歯がグラグラする
- 口の中が赤い、白い膜がある
- 目の下が腫れている(歯根膿瘍の可能性)
特に、目の下の腫れ・鼻水・くしゃみがある場合は、歯根に感染が及んでいる可能性が高く、早急な受診をおすすめします。
■動物病院での治療内容

原因によって治療が大きく異なります。
① 歯周病の場合
- 麻酔下での歯石除去(スケーリング)
- 歯周ポケットの洗浄
- 研磨(ポリッシング)
- 重度の場合は抜歯
歯周病は動物病院での治療が必要です。
② 歯の破折・根尖膿瘍
- 抜歯
- 根管治療(歯内治療)
見た目は小さな欠けでも、歯の中が感染しているケースが多いです。
③ 口内炎
- 消炎剤
- 抗生剤
- ウイルス治療
- 歯石除去などの口腔ケア
- 猫では抜歯が必要になることも
④ 全身疾患が原因の場合
腎臓・肝臓・内分泌疾患など、原疾患の治療を行います。
■ご家庭でできる口臭予防

①毎日の歯みがき
犬猫の歯周病予防で一番大切なのは、人と同じように歯みがきです。
最初は数秒から慣らしていけば大丈夫です。
②デンタルガム・デンタルおもちゃ
噛むことで汚れを落とす効果がありますが、歯みがきの代わりにはなりません。
硬すぎる物は逆に歯が折れるため注意が必要です。
③歯みがきシート・デンタルジェル
歯ブラシを嫌がる子の最初のステップとして有効です。
④定期的な健康診断・歯科検診
年1〜2回は動物病院での検査を受けると安心です。
■まとめ
犬猫の口臭は、
「老化だから仕方ない」ではなく、ほとんどが治療可能なサイン です。
- 原因の多くは「歯周病」
- 放置すると強い痛み・感染・歯の喪失につながる
- 口臭が急にひどくなったら要注意
- 治療は原因ごとに大きく異なる
- 歯みがきなどの日常ケアがとても大切
当院では歯科治療にも力を入れています。少しでも「いつもと違うニオイ?」と感じたら、いつでもご相談ください。
荻窪桃井どうぶつ病院/杉並動物循環器クリニックでは、公式ライン・インスタグラムにて飼い主さん向けの情報を発信しています。



