今回は去勢手術・避妊手術のお話をします。
一度は聞いたことがある去勢・避妊手術、一体何をするのか、どうして手術したほうがいいのか、疑問があると思います。
<去勢手術>
まず去勢手術とは男の子が受ける手術で、精巣を摘出する手術です。反対に女の子が受ける手術が避妊手術で、卵巣と子宮を摘出する手術です。
どうして手術したほうがいいのか。最大のメリットはなんと言っても今後起こりうる病気の予防につながります。
去勢手術により、精巣の病気はもちろん男性ホルモン由来の病気を予防することができます。例えば肛門周囲にできる腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニアが挙げられます。
<避妊手術>
避妊手術は、卵巣・子宮の病気(例えば卵巣腫瘍、子宮蓄膿症など)に加え、乳腺にできる腫瘍の発生予防につながります。また発情もストレスになることがあります。手術により発情もなくなります。
乳腺腫瘍の予防率は避妊手術をいつやるかが重要です。1回目の発情の前に手術をすると99%、2回目の発情までに手術をすると91%予防できると言われています。3回目以降は大きく予防率が下がり、7割くらいに落ちていきます。このような理由で早めの手術が推奨されています。
先日、子宮蓄膿症(子宮内に膿が溜まる病気)で体調不良になり、緊急手術をした子がいました。このような状態では麻酔のリスクも高まります。その子は今では無事に退院し、元気に過ごしてくれています。
最近、当院ではソニックビートという手術器具を導入しました。
超音波凝固切開装置と言いまして、超音波で血管や組織を止血しながら切開することができる優れものです。
・麻酔・手術時間の短縮により体への負担を軽減できる。
・安全かつ確実な止血により出血量を抑えることができる。
・異物反応を起こす可能性のある縫合糸の使用を最小限にできる。
特に異物(縫合糸)反応性肉芽腫は非常に浸潤性が強く悪性度の高い病気です。
このように動物たちに大きなメリットが多くあります。ご希望があれば、去勢・避妊手術に使用させていただきます。
前向きに検討している、まだ手術を受けさせるか迷っているなどございましたら、ぜひ一度病院までご相談くださいませ。