
犬や猫は6~7歳頃から老化が始まり、体や心にさまざまな変化が生じます。人間と同様に、動物にも老化の過程があり、それが慢性化すると気づかないこともあります。ここでは、高齢動物についてのいくつかのポイントを説明します。
1. 高齢動物の機能と行動の変化
高齢動物は、年齢とともに身体機能、生理機能、感覚機能、精神機能が衰えてきます。
機能変化 | 見た目の変化 | |
身体機能 | 筋力・持久力・瞬発力の低下 | ・立ち上がりに時間がかかる ・よろけやすくなる ・疲れやすい ・散歩を嫌がる |
生理機能 | 脳・脊髄機能・各臓器の低下 | ・寝ている時間が多い ・便秘、排尿困難や頻尿 ・食欲不振、誤嚥 ・病気になりやすい |
感覚機能 | 五感の低下 | ・見えにくい、視野が狭い ・聞こえにくく、反応が薄い ・熱や痛みに鈍感になる |
精神機能 | 環境適応能力の低下 | ・思考力の低下 ・興味の範囲が狭くなる ・行動障害(徘徊など) |
2. 栄養管理
高齢動物には、年齢に適した食事が必要です。
- 総合栄養食を成犬用から高齢用、もしくは疾患にあわせた療法食に変更する
- 加齢に伴い、食欲が細くなるため工夫して食事を与える(食事を温める、少量で与える回数を増やすなど)
- 自発的に食べない場合は強制給餌や鼻カテーテルの設置を検討する
3. 認知症
犬や猫にも認知症になる子がいます。無意味な遠吠え・昼夜逆転・旋回歩行・後退できないなどの症状が出た場合は、生活リズムをきちん整えてあげることが大切です。
- 脳を活性化する不飽和脂肪酸(DHA・EPA)が含まれる療法食やサプリメント(※)を与えてみる
- 夜が眠れずに吠え続けるようであれば病院で睡眠導入剤の処方を検討してみる
※当院ではアンチノールを置いており、サンプルもご用意していますので気になる方はご相談ください!
4. 介護と生活環境
高齢動物の生活環境を整えることは、長寿を支える重要なポイントです。
- 寝床や居場所の工夫:関節の痛みや筋肉の衰えを補うために、柔らかいマットや毛布を使用し、暖かい寝床を作る
- 階段や段差を作らない:関節が痛む場合、段差を減らすことで負担を減らせる
まとめ
高齢動物はその年齢に応じた特別なケアを必要としますが、適切なサポートと愛情を持って接することで、より快適で幸せな生活を送ることができます。飼っているペットが高齢になった時も、彼らにとって安心で穏やかな生活を提供してあげることが、飼い主としての大切な責任です。困ったことがあればいつでも獣医師に相談してください。