股関節形成不全とは?
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)とは、股関節のかみ合わせが正常に発達せず、関節がゆるく不安定になる病気です。
進行すると関節に炎症や変形が起こり、痛みや歩行障害を引き起こします。特に大型犬(ゴールデン・ラブラドール・ジャーマンシェパードなど)でよく見られますが、小型犬でも起こることがあります。
原因
股関節形成不全は、遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさって発症します。
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遺伝的な体質(骨格の発達異常)
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急激な成長や体重増加
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運動のしすぎや不適切な運動
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栄養バランスの偏り
主な症状
以下のような症状が見られるときは要注意です。
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後ろ足を引きずるように歩く
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ウサギ跳びのように両足をそろえて走る
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散歩中にすぐ座り込む
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立ち上がるのに時間がかかる
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後肢の筋肉が落ちて細くなる
これらは痛みや不安定さによるサインであり、早期発見が重要です。
診断方法
動物病院では以下の方法で診断します。
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身体検査(歩き方や関節の動きをチェック)
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レントゲン検査(股関節の形やゆるみの確認)
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必要に応じてCT検査
治療方法
症状の程度によって治療法は異なります。
内科的治療(軽度の場合)
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体重管理(肥満は関節に大きな負担となります)
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痛み止めや抗炎症薬の投与
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サプリメント(グルコサミン、コンドロイチンなど関節保護成分)
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リハビリや水泳など負担の少ない運動
外科的治療(重度の場合)
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骨切り術(若齢で重度の場合に行うことがある)
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股関節全置換術(人工関節手術)
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大腿骨頭切除術(関節の動きを改善するための手術)
症状の進行度や年齢、体格によって適した治療法は異なります。
気をつけること
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成長期(特に生後6か月まで)の栄養と運動に注意する
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適正体重を維持する
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フローリングなど滑りやすい床はマットを敷いて関節の負担を減らす
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定期的に健康診断を受け、早期発見を心がける
まとめ
股関節形成不全は、早期に気づいてあげることで生活の質を大きく守れる病気です。
「歩き方が変だな」「散歩を嫌がるな」と感じたら、自己判断せず、早めに動物病院にご相談ください。
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