犬や猫の「聴診」で何が分かる?心臓や呼吸の音を聞く大切さを紹介!
CATEGORY: 循環器科

動物病院で診察を受けるとき、獣医師が犬や猫の胸に聴診器を当てているのを見たことはありませんか?
「聴診器を当てているけれど、何を聞いているのだろう?」
「聴診だけで病気が分かるの?」
と思われる方もいるかもしれません。
聴診は、犬や猫の診察で日常的に行われている、とても基本的な検査です。
心臓の音や呼吸の音を注意深く聞くことで、心臓病や呼吸器の異常を疑うきっかけを見つけることができます。
今回は、犬や猫の「聴診」で何を確認しているのか、心雑音とは何なのか、そして聴診だけでは分からないことについて解説します。
聴診とは?
聴診とは、聴診器を使って体の中から聞こえてくる音を確認する検査です。
犬や猫の診察では、主に心臓の音と呼吸の音を聞きます。
心臓では、心拍数やリズムが規則的かどうか、正常とは異なる音が聞こえていないかを確認します。
一方、胸の呼吸音を聞くことで、肺や気道に異常がないかを評価します。
聴診は短時間で行うことができ、体への負担もほとんどありません。そのため、病気が疑われるときだけでなく、健康診断などでも重要な検査のひとつとなっています。
心臓からはどんな音が聞こえる?

正常な心臓では、心臓が収縮・拡張する動きに伴って「ドクン、ドクン」という心音が聞こえます。
この音を聞きながら、獣医師は単に「心臓が動いているか」を確認しているわけではありません。
心拍数やリズム、心音の強さ、左右での違い、そして本来聞こえないはずの音が加わっていないかなどを確認しています。その中でも、健康診断などでよく指摘されるのが心雑音です。
「心雑音」とは?
心雑音とは、心臓の中を血液が流れる際に生じる「雑音」のことです。
通常の心音に加えて、「ザー」「シャー」といった音が聞こえることがあります。
原因として、心臓の弁や心臓の構造に異常があり、血液が通常とは異なる流れ方をしている場合があります。
犬では、特に僧帽弁閉鎖不全症などが代表的な原因です。
また、子犬や子猫では、生まれつき心臓や血管の構造に異常がある先天性心疾患によって心雑音が聞こえることもあります。
ただし、心雑音がある=必ず重い心臓病がある、というわけではありません。
そのため、心雑音が見つかった場合には、その音の特徴や強さ、年齢、症状などを合わせて判断することが重要です。
心臓の音の他には?

聴診器を胸に当てたとき、聞いているのは心臓だけではありません。呼吸の音も重要な情報になります。正常な呼吸音とは異なる音が聞こえた場合、気管や気管支、肺などの病気が隠れている可能性があります。
例えば、
- 咳が続いている
- 呼吸が以前より速くなった
- 運動するとすぐに疲れる
- 呼吸が苦しそう
といった症状がある場合には、聴診による評価が重要になります。心臓病と呼吸器疾患では症状が似ていることもあるため、心音と呼吸音の両方を確認することが診断の手がかりになります。
聴診だけで心臓病を診断できる?

聴診は非常に重要な検査ですが、聴診だけですべての心臓病を診断できるわけではありません。例えば、心雑音が聞こえた場合には、
「なぜ雑音が聞こえるのか」
「心臓がどの程度大きくなっているのか」
「心臓の機能に問題があるのか」
などを詳しく調べる必要があります。そのため、必要に応じてレントゲン検査、心臓超音波検査、血液検査、心電図検査などを組み合わせます。
自宅で気づけるペットの「心臓の変化」
聴診そのものは動物病院で行う検査ですが、ご家族が普段の様子を観察しておくことも大切です。特に注意したいのが、呼吸や運動の変化です。
以前と比べて散歩ですぐに疲れるようになったり、寝ているときの呼吸が速くなったり、咳をするようになった場合には、一度動物病院で相談してみましょう。
また、ふらつきや失神などがみられた場合には、心臓病や不整脈などが関係している可能性もあるため、早めの診察が必要です。
ただし、こうした症状は心臓病以外でも起こります。「年齢のせいかな」と自己判断せず、気になる変化があれば獣医師に相談しましょう。
定期的な聴診が大切な理由
聴診の大きなメリットは、体への負担がほとんどなく、診察のたびに繰り返し確認できることです。
一度の聴診だけでは分からない変化でも、以前の状態と比較することで、
「以前はなかった心雑音が聞こえるようになった」
「心拍のリズムに変化がある」
といった異常に気づくことがあります。
そのため、症状が出てから検査を受けるだけではなく、健康なときの心臓の状態を知っておくことも大切です。
特にシニア期に入った犬や猫では、健康診断の一環として定期的に聴診を受けることをおすすめします。
実際の「心臓の音」を聞いてみませんか?
普段、獣医師が聴診器を使って聞いている心臓の音。
「正常な心音はどんな音?」
「心雑音があると何が違うの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

荻窪桃井どうぶつ病院では、心音を高音質でスピーカーから聞くことができる心音計を導入しています。実際の心音を聞きながら、正常な心音と心雑音の違いを説明することができます。また、心音波形を記録することもできます。
心臓の音は、文章だけではなかなかイメージしにくいものです。
実際の音を聞くことで、「獣医師が聴診器で何を確認しているのか」を知るきっかけにもなります。
まとめ
犬や猫の聴診は、心臓や呼吸器の状態を確認するために欠かせない基本的な検査です。
特に心雑音は、まだ症状が出ていない段階で心臓病に気づくきっかけになることがあります。
一方で、聴診だけですべての心臓病を判断できるわけではありません。必要に応じて心電図や心臓超音波検査などを組み合わせることで、より詳しく心臓の状態を確認することができます。
「元気だから大丈夫」と思っているときでも、心臓病が静かに進行していることがあります。
まずは普段の診察で行っている「聴診」から、愛犬・愛猫の心臓の状態を確認してみませんか?


