チョコレートやタマネギをもし食べてしまったらどうなるの?|犬猫の中毒に関する症状や治療法について詳しく解説
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犬や猫の「中毒」はとても身近で、早期対応が命を左右する重要な問題です。
また、実際どのくらいの量を食べると命に関わってくるほど危険なのか、もし食べてしまった時どうすれば良いかなどわからない方も多いかと思われます。
そのため今回は、犬猫が食べてはいけないものの中毒量や症状、治療法などについて詳しく説明します。
犬猫の中毒とは?
中毒とは、「化学物質や自然界に存在する物質の毒性によって生じた生体の有害反応のこと」を言います。
つまり中毒物質は生活環境の中にほぼ無限に存在するため、人間には安全でも、動物には毒になるものが多く存在します。
よくある中毒の原因
食べ物
- チョコレート
- ネギ類(玉ねぎ・にんにく・長ねぎ)
- ぶどう・レーズン
- キシリトール(ガム・お菓子)
植物
- ユリ(特に猫は非常に危険)
- 観葉植物(ポトス、アイビーなど)
日用品・薬
- 人間の薬(解熱鎮痛薬など)
- 殺虫剤・除草剤
- 洗剤・漂白剤
今回はこの中からチョコレート、タマネギ、ブドウの中毒についてより詳しく説明します。
<チョコレート中毒>
チョコレート中毒は、チョコレートの原材料となるカカオの成分(テオブロミン)が中毒症状を引き起こす主な原因物質とされています。
また、もう一つの中毒物質としてカフェインが挙げられるためチョコレートだけでなく、コーヒーや紅茶・お茶類、ココアなども中毒症状を引き起こす可能性があります。
〜中毒量〜
テオブロミンの中毒量は、犬と猫どちらも1kgあたり100~200mg、カフェインだと犬は1kgあたり100~200mg、猫は1kgあたり80~150mgと報告があります。
しかし症状はもっと低用量でみられ、20mgで嘔吐や落ち着きがないなどの軽度な症状、40~50mgで不整脈などの重度な症状、60mg以上で痙攣を引き起こすと言われているので、たとえ少量だとしても注意が必要です。
※スーパー等で売られているミルクの板チョコ1枚が大体50gになり、そのうちテオブロミンは約110~135mg含まれています。
また、体重5kgのわんちゃんだと最低でも100mgで中毒症状が出る可能性があると考えられます。
〜症状〜
カフェインを摂取した場合は、2時間以内に症状が出るとされていますが、チョコレートだと症状が出るまでに少し時間がかかるとされています。
消化器症状
- 嘔吐
- 下痢
- 多飲
神経症状
- 震え
- 痙攣
- 異常な興奮・脱力
呼吸・循環
- 頻脈・不整脈
- 高血圧
- チアノーゼ など
| 摂取量 | 20mg/kg | 40~50mg/kg | 60mg/kg以上 |
| 症状 | 落ち着きがない 嘔吐・下痢 多飲 | 異常な興奮 頻脈 脱力 | 不整脈 チアノーゼ 痙攣 |
<ネギ中毒(タマネギ中毒)>
タマネギをはじめニンニク、ネギ、ニラなどのネギ類は、犬や猫だと有毒であることが認知されています。
さまざまな料理に含まれているので家庭内での誤食が非常に起こりやすいです。
また、摂取量が多い場合には、適切な処置をしないと最悪死に至る可能性もあります。
〜中毒量〜
タマネギの中毒量は、犬では1kgあたり15~30g、猫では1kgあたり5gという報告があります。
(玉ねぎの重さ約100~200g)
しかしながら動物種や体重、野菜の種類や大きさによって個体差も大きいため、例え少量だとしても発症する可能性はあります。
〜症状〜
消化器症状
- 嘔吐・下痢
- 腹痛
- 食欲不振
その他
- 貧血(※)
- 元気がない
- 運動不耐性(疲れやすいなど)
※タマネギなどのネギ類に含まれている有機硫黄化合物(ジプロピルジスルフィドなど)は血液をサラサラにする抗血栓作用があり、ヒトだと良い健康効果ですが、犬猫にとってはこれが中毒成分になります。有機硫黄化合物は、犬猫の赤血球に酸化障害を起こし、ハインツ小体形成、メトヘモグロビン血症、溶血性貧血を引き起こすことがあります。
そのため大量摂取してしまうと、3~5日かけて赤血球が破壊され、溶血が起こり貧血を引き起こします。
貧血が起こると可視粘膜(歯茎など)が白っぽくなり、脱力、頻呼吸、頻脈、血尿といった症状も出始めます。
<ブドウ中毒>
ブドウ中毒は、現時点だと中毒のメカニズムは明らかになっておらず、おそらくブドウやレーズンに含まれる何らかの成分が直接腎臓などの泌尿器に障害を引き起こしていると言われています。
(近年では酒石酸(ブドウやワインなどの果実に多く含まれる有機酸)の関与が指摘されています。)
〜中毒量〜
犬猫における中毒量は定まっておらず、少量の誤食で中毒症状が出た子もいれば、大量に誤食しても無症状だった子もいたと報告があります。そのため誤食量が少なかったとしても安心できるわけではないので注意が必要です。
| 1粒あたりの重さ(g) | おおよその中毒量(g/kg) | 中毒を引き起こす粒数(粒/kg) | |
| ブドウ小 | 1.0~1.5 | 19.6 | 13~19 |
| ブドウ大 | 10~12 | 19.6 | 1.6~1.9 |
| シャインマスカット | 10~12 | 19.6 | 1.6~1.9 |
| レーズン | 0.5~0.8 | 2.8 | 3.5~5.6 |
〜症状〜
主な症状としては嘔吐となっており、摂取後、8~24時間以内に生じるとされています。
続いて24~72時間以内に血液検査の腎数値の上昇がみられ、腎障害を引き起こすとされています。
また、犬では高窒素血症という本来尿として体外へ排出されるべき窒素化合物(BUN、CRE)が、72時間以内に血液中に異常に蓄積される病気が発症する可能性も多いため、2~3日は通院していただくこともあります。
消化器症状
- 嘔吐・下痢
- 腹痛
- 食欲不振
泌尿器症状
- 多飲多尿
- 尿量の減少(乏尿・無尿)
- 高窒素血症
神経症状(腎障害が重篤化した場合)
- 意識の低下
- 痙攣発作 など
治療方法
誤食してしまった食べ物や時間、量によって変わってくると思いますが、主な治療方法は以下の通りです。
① 吐かせる処置(催吐)
薬剤により嘔吐を誘発し、胃の中にある中毒物質を体外に排出させる方法。
誤食から比較的短時間で来院された場合に適応。
また、食べたものによっては、たとえ短時間でも催吐処置ができないこともあるため注意が必要。
(チョコレートやレーズンなどは胃内に残留することがあるので実施を検討する可能性あり)
また当院では、”クレボル”(ロピニロール)という犬用催吐点眼剤と”ブリモニジン”という猫用催吐点眼剤を使用して催吐処置も行っております。
目から吸収された有効成分が脳の催吐中枢を直接刺激することで嘔吐を誘発することができます。

<その他の催吐処置を行う際に使用する薬剤>
| 薬剤名 | 特記事項 |
|---|---|
| メデトミジン塩酸塩 | 心臓疾患を持つ子には使用を控える必要があり、 催吐後は拮抗薬を使用 |
| トラネキサム酸 | 痙攣を起こす可能性がある |
| アポモルヒネ塩酸塩水和物 | 鎮静効果が出る可能性がある |
② 活性炭の使用
活性炭は消化管内で中毒物質を吸着し、吸収を阻害する作用をもつため毒物の吸収を防ぐことができる。
ただし全ての中毒物質を吸着するわけではない。
また、脱水や電解質異常、誤嚥性肺炎、便秘、消化管閉塞等の合併症も考慮しないといけない。
③ 点滴
強制利尿により、中毒物質を排出する目的で皮下点滴や静脈点滴を実施する。(ブドウ中毒などで実施)
また、急性腎不全の予防のために実施することもある。
④胃洗浄
胃内に残っている中毒物質を全身麻酔下で体外に排泄させる方法。
しかし1時間以上経過しているとあまり効果的ではない。
大量摂取・徐放性製剤・胃内残留が疑われる場合は時間経過後も検討されることがあります。
⑤血液透析
腎臓の機能が急激に低下した際に、専用の機械を用いて血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、腎臓の働きを代行する治療法。(主にブドウ中毒で実施)
まとめ
応急対応(すぐ病院に行く前に)
できる範囲で良いので何を食べたか(パッケージなど持参)、食べた時間・量をメモ、嘔吐物があれば写真 or 持参していただけると検査や処置をよりスムーズに行うことができます。
予防が一番重要
ワンちゃん、ネコちゃんはいつ誤食してもおかしくありません。そのため散歩中はその子から目を離さない、食べ物を床に置かない、ゴミ箱にフタをするなど、小さなことから予防していきましょう。
中毒は「気づいた時点で病院に行く」=最も助かる確率が高い行動になります。
もし中毒が重篤化してしまった場合、最悪死に至ることもありますので、飼っているワンちゃん・ネコちゃんが誤食をしてしまったら、すぐにお近くの動物病院にご相談ください。
執筆:動物看護師 小田
監修:院長 木崎
獣医師 稲見


