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病気のお話Disease Column

犬と猫の肝臓腫瘍について|症状・検査・治療法について獣医師が詳しく解説

CATEGORY: 腫瘍科

「健康診断で肝臓にしこりが見つかった」
「最近、食欲が落ちてきた。」
「お腹が張ってきた気がする」

犬や猫の肝臓に腫瘤(しこり)が見つかることがあります。肝臓腫瘍には良性と悪性があり、腫瘍の種類や大きさ、発生部位によって治療方針は大きく異なります。

今回は、犬と猫の肝臓腫瘍について、飼い主の方が知っておきたい症状や検査、治療方法を解説します。

肝臓腫瘍とは?

肝臓腫瘍とは、肝臓の細胞が異常に増殖することで形成される腫瘍です。肝臓そのものから発生する「原発性肝臓腫瘍」と、他の臓器に発生した腫瘍が肝臓へ転移する「転移性肝臓腫瘍」に分けられます。

また、肝臓に見られるしこりは、すべてが腫瘍というわけではありません。結節性過形成や炎症性病変など、腫瘍以外の病気でも肝臓に結節が形成されることがあります。

犬と猫で異なる肝臓腫瘍

犬と猫では、発生する肝臓腫瘍の種類や特徴に違いがあります。

犬では肝細胞癌などの原発性腫瘍が見られ、単発の大きな腫瘤として発見されることがあります。
猫では胆管癌やリンパ腫などが鑑別に挙げられ、良性の病変を含めて幅広く評価する必要があります。

肝臓腫瘍ではどのような症状が見られる?

肝臓腫瘍は、初期には目立った症状がないことが多いです。健康診断の血液検査や腹部超音波検査で、偶然発見されるケースもあります。

腫瘍が大きくなったり、肝臓の機能に影響を及ぼしたりすると、次のような症状が見られることがあります。

  • 食欲の低下
  • 体重減少
  • 元気がない
  • 嘔吐や下痢
  • お腹が張っている
  • 水を飲む量や尿量の変化
  • 歯茎や白目が黄色くなる(黄疸)

ただし、これらの症状は肝臓腫瘍に特有のものではありません。肝炎や胆道系疾患、その他の内臓疾患でも見られるため、検査による鑑別が重要です。

肝臓腫瘍の検査

肝臓に腫瘤が疑われる場合には、全身状態と腫瘤の性状を確認するために複数の検査を組み合わせます。

1. 血液検査

肝臓の状態や全身への影響を評価します。

  • ALT、AST、ALP、GGTなどの肝胆道系酵素
  • 総ビリルビン
  • アルブミンなどの血漿蛋白
  • 血糖値
  • 血液凝固能に関する検査  など

肝臓腫瘍があっても、血液検査が正常な場合があります。一方、異常が見られた場合でも、それだけで腫瘍の良性・悪性を判断することはできません。

2. 腹部超音波検査、レントゲン検査

超音波検査では、肝臓の大きさや内部構造、腫瘤の位置・大きさ・数などを確認します。
腫瘤が単発なのか多発なのか、周囲の組織に異常がないかなどを評価するうえで重要な検査です。

3. CT検査

手術を検討する場合には、CT検査によって腫瘤の広がりや血管との位置関係、他の臓器への転移の有無などを詳しく確認します。
肝臓腫瘍の手術では、腫瘤の位置や血管の走行を把握することが、手術の安全性や切除可能性を判断するうえで重要です。

4. 細胞診・病理組織検査

腫瘤の細胞を採取して調べる細胞診や、組織を顕微鏡で詳しく調べる病理組織検査を行うことがあります。
ただし、肝臓の腫瘤は細胞診だけでは良性・悪性や腫瘍の種類を十分に判別できない場合があります。確定診断には、摘出した腫瘤の病理組織検査が必要となることがあります。

肝臓腫瘍の治療

治療方法は、腫瘍の種類、発生部位、腫瘤の数、転移の有無、全身状態などを総合的に判断して決定します。

外科手術

肝臓の一部に限局した腫瘤で、全身状態や腫瘍の広がりから切除が可能と判断される場合には、肝葉切除などの外科手術が検討されます。
特に、犬の一部の肝細胞癌では、外科的に完全切除できれば長期的な生存が期待できる場合があります。

内科治療・緩和ケア

手術が適応とならない場合や、腫瘍の種類によっては、症状や合併症を抑えるための内科治療を行います。

  • 食欲低下や嘔吐への対症療法
  • 疼痛や不快感の管理
  • 栄養状態の維持
  • 腫瘍の種類に応じた薬物療法の検討

治療の目的は、腫瘍の進行を抑えることだけではなく、動物の生活の質を維持することも含まれます。

気をつけたいこと

肝臓腫瘍は、症状が目立たないまま進行する場合があります。そのため、日頃から愛犬・愛猫の変化を観察することが大切です。

  • 食欲や飲水量の変化
  • 体重の減少
  • 嘔吐や下痢の有無
  • 元気や活動性の変化
  • お腹の張り
  • 歯茎や白目の色の変化

特に、急にぐったりする、歯茎が白くなる、お腹が急に張る、呼吸が苦しそうなどの症状がある場合には、腫瘍からの出血など緊急性の高い状態も考えられるため、速やかに動物病院を受診してください。

まとめ

犬と猫の肝臓腫瘍には、良性の病変から悪性腫瘍までさまざまな種類があります。肝臓にしこりが見つかったからといって、必ずしも悪性とは限りません。
一方で、腫瘍の種類や広がりによっては、早期に外科治療を検討することが重要となります。
健康診断や画像検査で肝臓の異常を指摘された場合には、血液検査や超音波検査、必要に応じたCT検査・病理組織検査などを通じて、適切な治療方針を検討しましょう。

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