犬と猫の歯周病|軽度〜重度の症状・治療・予後について詳しく解説
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「最近、愛犬・愛猫の口臭が気になる」
「歯に黄色や茶色の歯石がついている」
「歯茎が赤くなっている」
「歯茎から血が出ることがある」
このような症状に心当たりはありませんか?
もしかすると、歯周病が進行しているかもしれません。
歯周病というと、「歯石がつく」「口臭がする」といったイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、歯周病は単に歯が汚れる病気ではありません。
進行すると、歯を支えている骨まで破壊されてしまう病気です。
今回は、犬・猫の歯周病について、症状や原因、検査、治療、そして日頃からできる予防について解説します。
歯周病とは?
歯周病とは、歯の周りにある「歯周組織」に炎症が起こる病気です。
歯は歯茎だけで支えられているわけではありません。歯の周囲には、
- 歯肉(しにく) …歯のまわりを覆って、歯を守っているピンク色の組織
- 歯根膜(しこんまく)…歯と歯を支える骨の間にあり、クッションのように歯を支えている組織
- セメント質 …歯の根っこの表面を覆い、歯根膜と歯をつなぐ役割を持つ
- 歯槽骨(しそうこつ) …歯の根っこを囲み、歯をしっかり支えている骨
などの歯周組織があります。

健康な状態では、これらの組織によって歯がしっかりと支えられています。
しかし、歯垢などに含まれる細菌によって歯茎に炎症が起こると、まず歯肉炎が生じます。
歯肉炎の段階では、適切な治療によって回復が見込めます。
ところが炎症が進行して歯周病になると、歯を支えている組織にまで炎症が広がり、歯根膜の破壊や歯槽骨の吸収が起こります。
つまり、
歯肉炎
↓
歯周炎
↓
歯を支える組織の破壊
↓
歯槽骨の吸収 …歯を支えている骨が少しずつ減り、歯を支える力が弱くなっていく。
↓
歯のぐらつき・脱落
というように、徐々に歯を支える土台が失われていくのです。
一度失われた歯周組織は、治療によって完全に元の状態へ戻すことが難しいため、早期発見・早期治療が重要です。
症状
歯周病では、進行度によってさまざまな症状が見られます。
初期には、
- 歯垢・歯石がついている
- 歯茎が赤い
- 歯茎から出血する
- 口臭がでてくる
などの変化が見られます。


特に歯茎は、お口の状態を確認するうえで重要なポイントです。
健康な歯肉では、歯と歯の間にある「歯間乳頭」がシャープな形をしています。
炎症が起こると、歯肉が赤黒くなり、腫れて丸みを帯びることで、歯間乳頭のシャープさが失われていくことがあります。
歯周病が進行すると、
- 歯茎が退縮する
- 歯周ポケットが深くなる
- 歯がぐらつく
- 硬いものを食べにくくなる
- 歯茎から膿が出る
などの症状が現れることがあります。


さらに歯槽骨の吸収が進むと、歯を支えきれなくなり、歯が抜けてしまうこともあります。
重症化すると
重度の歯周病では、お口の中だけでなく、口の周囲にも変化が現れることがあります。
例えば、歯根の位置によっては、
- 顔が腫れる
- 目の下が腫れる
- 鼻汁が出る
- くしゃみ
- 鼻出血
などの症状につながることがあります。

原因
歯周病の大きな原因となるのが、歯垢(プラーク)に含まれる細菌です。
歯の表面に歯垢が蓄積すると、歯肉に炎症が起こり、歯周病が進行していきます。
また、歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなります。
歯周ポケットが深くなるほどプラークがたまりやすくなり、清掃性や自浄作用も低下するため、さらに不潔な環境になりやすくなります。
そのため、
歯垢がたまる
↓
歯肉に炎症が起こる
↓
歯周ポケットが形成・深くなる
↓
さらに細菌がたまりやすくなる
↓
歯周病が進行する
という悪循環が生じます。
歯科レントゲン検査
歯周病の検査で特に重要なのが、歯科のレントゲン検査です。
口の中を見ただけでは、歯の根や歯槽骨の状態までは確認できません。
口腔内のレントゲン撮影を行うことにより、歯や骨の状態をより繊細に知ることができます。
見た目上問題がないように見える歯でも、重大な病変が見落とされる可能性があるからこそ、
「見た目では大丈夫そう」というだけでは判断できないのです。
治療
歯周病の治療で大切なのは、歯周病の原因となる細菌や感染源を取り除くことです。
[歯科処置]
歯周病の状態に応じて、
- スケーリング /歯の表面や歯周ポケットに付着した歯垢・歯石を取り除く
- ルートプレーニング /歯の根っこの表面をきれいにして、歯周組織が回復しやすい状態にする
- 抜歯 /重度の歯周病などで保存が難しい歯を取り除く
などの治療が選択されます。
特に、保存することが難しい歯では、抜歯によって感染源そのものを取り除くことがあります。
その他
歯周病の治療は、処置をして終わりではありません。
治療後も歯垢が再び付着するため、ホームケアによって再発を防ぐことが重要です。
予後
歯周病の予後は、どの程度まで歯周組織が破壊されているかによって異なります。
歯肉炎の段階であれば、適切な治療によって回復が期待できます。
一方、歯周病まで進行して歯槽骨や歯根膜などが失われてしまうと、元の状態に完全に戻すことは難しくなります。
また、治療によって症状が改善しても、歯垢が再び蓄積すれば歯周病が再発する可能性があります。
そのため、
治療すること
+
治療後もケアを続けること
+
プロによる定期的なチェックを行うこと
といった治療後のケアがもっとも大切です。
予防
歯周病の予防では、歯垢をためないことが基本になります。
【おうちでできるお口チェック】
まずは、愛犬・愛猫のお口を日頃からチェックしてみましょう。
- 歯垢・歯石が増えていないか
- 歯茎が赤くなっていないか
- 歯茎が腫れていないか
- 出血していないか
- 口臭が強くなっていないか
- 歯がぐらついていないか
などを確認します。
特に「以前と比べてどう変化したか」を知るためにも、普段の状態を知っておくことが重要です。
そして、可能であれば日常的なブラッシングなどのホームケアを取り入れ、歯垢の再付着を防ぎましょう。
定期検診
歯周病は、見た目だけではわからないことがあります。
そのため、定期的に動物病院でお口の状態をチェックしてもらうことも大切です。
「まだ歯は抜けていないから大丈夫」ではなく、普段見落としがちなところを再確認する必要があります。
定期的なケアの一環として動物病院で口腔内のチェックを行いましょう
まとめ
歯周病は、歯石や口臭だけの問題ではありません。
歯肉炎から歯周炎へと進行すると、歯を支える歯根膜や歯槽骨まで破壊され、歯がぐらついたり、抜けたりすることがあります。
さらに重度になると、顔の腫れや鼻の症状、下顎骨の病的骨折など、お口の外にまで影響が及ぶことがあります。
また、歯周病は見た目だけでは判断できないこともあるため、プロービングや歯科用レントゲンによる詳しい検査が重要です。
「口臭が気になる」
「歯石が増えてきた」
「歯茎が赤い・腫れている」
「歯茎から血が出る」
「歯がぐらついている」
このような症状が見られたら、「年齢のせい」「歯石がついただけ」とそのままにせず、一度お口の状態を確認してみましょう。
歯を守るためには、歯そのものだけでなく、歯を支えている歯茎や骨を守ることが大切です。
気になる症状があれば、早めに動物病院へご相談ください。
執筆:動物看護師 平柳
監修:獣医師 山本


